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にっきみたいなBlog

「狂食の時代」

「狂食の時代」ジョン・ハンフリース/永井喜久子、西尾ゆう子訳

要するに今はいかに恐ろしいものを食わされているか、という話。著者はイギリス人なのでイギリスの話が中心だけども、多くは日本でも似たようなものなのだろう。こういうの読んじゃうと、今の世の中何も食えなくなりそう・・。

いろいろ知らなかったというか、なんと自分は無知なのだろうと。食って一番身近はなずなのに、あまりに無知。

穀物とかを育てるのに信じられない量使われる殺虫剤、除草剤。鶏をはじめとして食肉用の動物に使用されている大量の抗生物質(抗生物質で成長が促進されるとは知らなかった)。ブロイラーと聞けば、せまい場所に多くの鶏が入れられて、という程度は想像できるけども、その環境、食べさせられるもの、そのひどさは信じがたいレベル。魚の養殖と聞いてどう感じるだろうか。あまり運動できない場所で育てられて、身もしまってなくておいしくない、程度のレベルではないだろうか。自分はそんな感じだった。実態はその魚のみならず周辺海域に与える悪影響は計り知れない。養殖場においても狭い空間に夥しい数の魚が入れられるわけだから、衛生的なはずがない。大量の排泄物や、狭いため、どうしても傷つき感染症、寄生虫が発生する。仕方ない、殺菌剤、抗生剤、水質浄化剤を大量に投入する。我々はそうやって「作られた」ものを安い、安いと買い求め食べてしまうのだ。そうして招いた悲劇の最たるものが狂牛病だろう。

その他、遺伝子組み換え食品についても触れている。その危険性(逆に安全性)は結局まだ本当のところは分からない、というのが現状らしい。とは言え、何か出てからでは遅すぎるだろう。すでにある遺伝子を移した食物が元の食物のアレルゲンまで移して、食べられなくなった例はあるみたい。

筆者が言うには、最終的にはこうした現状を変えられるのは消費者しかいない、と。生産者、お役人は所詮利益でしか動かないのだ。

まあタイトルから上記のような内容はだいたい想像できるものでしょうけど、実際に読むと予想以上の惨さに驚かされる。読んでみるのもよいかと。

さてさてどうしたものですかねぇ・・・。この先どうなっていくんですかねぇ・・・。今の世の中はあまりに早すぎて、世界はあまりに狭くなっちゃいましたねぇ・・。
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  1. 2003/06/20(金) 13:56:08|
  2. 読んだ本系
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「死の病原体プリオン」

「死の病原体プリオン」リチャード・ローズ/桃井建司,綱屋慎哉(訳)

いまさらであるが。食人文化から始まって狂牛病まで。最初の食人文化の民族の描写は結構不気味で飯食いながら読むんじゃなかったと大いに後悔・・。

その文化内だけに見られるクールーという病気から、クロイツフェルト=ヤコブ病、羊のスクレイピー等々に話が移り、類似性が発見され、狂牛病の話まで。本がちょっと古いので(原書で97年)最近どうなんでしょうねー。最悪の想定シナリオでは2015年あたりにはイギリスでは毎年50万人くらい狂牛病で死ぬーなんて書いてありましたけど。

想像(?)と違ってて意外だったというか、恐ろしいなぁと思ったのは、(これもあくまで最悪の想定シナリオだけども)牛食べないだけでもだめ、菜食主義でも危ない可能性はあると。要はいろいろ回りまわって野菜もだめ、と。

これも知らなかったのだけど、牛脂とかって自分が想像もしてないものにも多く使われてんですねぇ・・キャンディ、クッキー、口紅、咳止めとかまで(日本はどうかしりませんが)。ほんと今の世の中何食わされてるか分かりませんなぁ・・。というか現代社会ではもう避けようがないな。どうすればいいのでしょう。

なんてことをタバコを吸いながら気にしてみるバカモノである。

ということでミニマイブームにより今日は「狂食の時代(ジョン・ハンフリース)」を買ってみた。
  1. 2003/06/18(水) 13:55:23|
  2. 読んだ本系
  3. | コメント:0

「誰のためのデザイン?」

「誰のためのデザイン?」認知科学者のデザイン原論
D.A.ノーマン/野島久雄訳

@ITの新入社員のためのおすすめ書籍かなんかにあった本。新入社員ならずとも、対象がなんであっても物作りをする人には一読をお勧めしたい本だな。要するにユーザーインターフェース(UI)の本。どういうUIをすべきか、に関して延々と具体例を出しながら説明されている。少々繰返しに近い記述も多いけど、気楽に読める本だ。
あなたが何か使うときに困ったり、失敗したことはないだろうか?それはあなたの頭が悪かったり、のみこみが悪いわけではないのだ。そのもののデザインが悪いのだ。というような問いかけに始まる。そう、私も今の携帯電話は使いこなせません。レンジですらよく分かっていません。これは私が悪いんじゃないのだ、デザインが悪いのだ。
本の中ではそういう多少複雑なものならず、ドアのような簡単なものについてもUIの良し悪しはある、としている。押すのか引くのか分からないようなドア、一生懸命ドアの右側を押していたら、左側を押さなきゃならなかった、みたいなことはないだろうか。あまりに綺麗なガラスのドアで激突したことはないだろうか?(私はある)。そういうのは綺麗かもしれないが、「いいデザイン」ではないわけだ。
本は原書が1988年のものでコンピュータについての記述はさほど多くないけども、システム作り、というものを生業とする自分にとっても得たものは大きい。読んでいると「そんなの当たり前じゃん」というのも多いのだけど、実際に何か作ってみると、使い辛いものができていることはよくあること。この本で唯一小さな不満があったとすれば、「よいUI = すぐ使える」みたいな感じであったこと(もちろんこんなに単純な言い方ではない)。そうするとどうしても操作が回りくどくなったりする場合があるような気がする。個人的には習得度に応じた便利な使いかたができるのがよいUIだと思う。例えばviというテキストエディタがある(テキストエディタはメモ帳みたいなやつね)。メモ帳ではカーソルは矢印キーで動かしてーとか普通に直感通りに使えるだろう。これがviというやつでは左に動かすには'h'を右に動かすには'l'を、上は'k'、下は'j'という風にとても初めてでは使えない。更にメモ帳で現在の行を消そうととしたら、delete押し続けるとか、少し知っている人なら、homeで行の頭に移って、Shift+Endで全部選択してdelete押すかもしれない。ここでviは'dd'と打つだけだ。これも直感的ではないし、知らないと絶対わからないのだけど、慣れるとそれだけでできてしまうので、とても便利なのだ。最初のカーソルの移動にしたって、なれるとホームポジションから手を動かさなくてよいので、とても早く、直感的にできる。まー結局何が言いたいか、というと習熟度に応じて操作の選択肢はいろいろあったほうがよくて、さらにそのユーザーを正しく認識しなければ、ということ。viは普通の人が使っても不幸なツールだ。
最後に覚書。
よいデザインの原則

* 可視性 目でみえることによって、ユーザは装置の状態とそこでどんな行為をとりうるかをしることができる。
* よい概念モデル デザイナーは、ユーザーにとってのよい概念モデルを提供すること。そのモデルは、操作とその結果の表現に整合性があり、一貫的かつ整合的なシステムイメージを生むものでなくてはならない。
* よい対応付け 行為と結果、操作とその効果、システムの状態と目に見えるものの間の対応関係を確定することができること。
* フィードバック ユーザは、行為の結果に関する完全なフィードバックを常に受け取ることができる。

難しい作業を単純なものにするための7つの原則

* 外界にある知識と頭の中にある知識の両方を利用する。
* 作業の構造を単純化する。
* 対応を目に見えるようにして、実行のへだたりと評価のへだたりに端をかける。
* 対応付けを正しくする。
* 自然の制約や人工的な制約の力を活用する。
* エラーに備えたデザインをする。
* 以上のすべてがうまくいかないときには標準化をする
  1. 2003/06/13(金) 13:54:12|
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